茨城書道美術振興会とは
本会は茨城県下の主な書道団体を網羅し、セクショナリズムを排した書道団体で、書道美術の振興と書道文化の高揚をめざし、中央書壇と密接なる交流を持ちながら、会員の友好を深め、県書壇の発展に寄与することを目的とする会です。 新着情報
日展、小林さん・辻さん特選 書科、ともに2度目
茨城新聞:2024年10月22日掲載公益社団法人日展は21日、第11回日展(東京・国立新美術館、11月1~24日)書科の入選者を発表した。本県関係では、茨城書道美術振興会常任理事の小林千早さん(65)=神栖市=と、同会常任理事で水戸葵陵高書道部顧問の辻敬齋さん(55)=水戸市=が特選を受賞した。特選はともに2度目の受賞。
小林さんの受賞作は「范石湖詩(はんせきこし)」。田園の穏やかな秋を、7行書きの行草体で、紙を石碑に見立て仕上げた。受賞理由は「文字の大小をうまく付け、心地のよいリズム感を出し碑面を意識したような表現になっていた」とされた。2022年以来の特選に小林さんは、「1度目の受賞からプレッシャーがあって、なかなか腕が動かなかった」という苦悩を乗り越え、「(結果が伴い)良かった」と喜びを語った。
辻さんの受賞作は篆刻(てんこく)「蟠屈拏攫(ばんくつだかく)」。心のおもむくままに彫った荒々しさと、漢印が持つ力強さを融合させた作品。受賞理由は「古典の再生にとどまらず、明るく重厚な作品に仕上げた。落款(らっかん)まで気を配り、印箋(いんせん)全体を作品として完成させた秀作」とされた。20年以来の受賞で、辻さんは「1回目は無心だったが、2回目は前回を超えるというプレッシャーや周囲の期待を感じた。複雑なものを抱えながらも受賞でき、率直にうれしい」と喜びを表した。(小林久隆、久須美七帆)
日本の書展茨城展 会期3日に短縮へ 水戸で本年度総会
茨城新聞:2024年06月11日掲載茨城書道美術振興会は10日、水戸市内のホテルで本年度総会を開き、2025年に52回目を迎える「日本の書展茨城展」を開催することを決めた。会期は同4月12~14日で、例年の6日間から3日間へ短縮する。
総会では、23年度事業報告や収支決算書、本年度の同計画案、同予算案などを承認した。同振興会長の沼田安広茨城新聞社長は「4月の日本の書展茨城展ではコロナ禍で中断していた表彰式や席上揮毫(きごう)会を開催でき、大変良いスタートを切れた」とあいさつ。吉澤鐵之理事長は「(同展の)第50回から作品のサイズを変え、趣向を凝らし、より良い書道界の発展のためやってきた。皆さんにご理解いただき、一緒に進めたい」と述べた。
総会であいさつする吉澤鐵之理事長(中央)=水戸市宮町
日本の書展茨城展 奨励受賞者の横顔(下)
茨城新聞:2024年04月17日掲載■鈴木静泉さん(水戸) 気負わずに自然体で
「気負わずに自然体で書いた。受賞は全く意識していなかったので驚き」。鄭明選の詩を青墨でしたため、初受賞。筆を運ぶ中で生まれる濃淡が作品に奥行きをもたらした。2006年の県展をきっかけに書の道へ。作品に圧倒され、興味を持った。「先輩方のおかげ。もう一度古典を学び、自分の糧にしたい」
■福田憲翠さん(鹿嶋) 行間広く格を高める
定年を機に始めた書。喜寿を迎える年に初の受賞となった。「気負わず、淡々と筆を運んだことが評価されたのかな」と満面の笑みをたたえる。受賞作は、中国・南宋の政治家、陸游の詩を行草体でしたためた。広い行間が作品の格を高めている。「今後は古典を中心に学びを深めたい」。円熟の八十路が楽しみだ。
■栗木白葉さん(常陸大宮) 正岡子規の句つづる
正岡子規の句「旅人や馬から落す草の餅」をつづり、初受賞。「ほのぼのとした中に滑稽さもある句」。情景を書で表現しようとバランスや筆致に集中、力みを抑えて「穏やかで朴訥(ぼくとつ)」とした作品に仕上げた。これまでは漢詩が中心で、俳句は初挑戦。「書の面白さを新たに見つけることができた」
鈴木静泉さん
福田憲翠さん
栗木白葉さん
日本の書展茨城展 奨励賞受賞者の横顔(中)
茨城新聞:2024年04月16日掲載■君野爽神さん(日立) 爽快な文字の連なり
受賞作は中国・清の詩人、王漁洋の五言古詩が題材。「八分隷」と呼ばれる横長の隷書体で丁寧に仕上げた。「墨量と線の変化に気を配り筆を運んだ」と振り返る。文字の連なりは爽快で、随所に見られる軽やかな「払い」がリズムを刻んでいる。「書の魅力は心を無にできること。末永く続けていきたい」
■墨の濃淡 軽快な旋律 中尾慧雪さん(筑西)
「2回目の受賞。光栄に感じている」。書に向き合って40年。穏やかな言葉の端々から創作への熱い姿勢が伝わる。作品は、中国・14世紀の軍人、劉基の詩を行草体で表現。大局を見据えた文字の連なりが印象的で、墨の濃淡が軽快な旋律を奏でる。「筆のバネを生かすことが課題。さらに精進を重ねていきたい」
■「狂草」の筆遣い研究 横山香月さん(ひたちなか)
題材は唐の詩人・王維の詩。「受賞を聞いたのは誕生日。思わぬプレゼントを頂いた」と2012年に続き2度目の受賞を喜ぶ。唐の書家・懐素の「狂草」と呼ばれる、連綿と書くスタイルの草書体を研究し、濃淡や余白に気を配った。「流れるような筆遣いに引かれた。少しでも自分の中に取り入れていきたい」
君野爽神さん
中尾慧雪さん
横山香月さん
日本の書展茨城展 奨励賞受賞者の横顔(上)
茨城新聞:2024年04月14日掲載第51回日本の書展茨城展(茨城書道美術振興会、茨城新聞社主催)の奨励賞受賞者10人が決まった。栄誉に輝いた横顔を紹介する。(順不同)
■藤枝咲絵さん(水戸) 柔らかな色味も表現
幼少時から書と向き合う平成生まれの31歳。初めての受賞に「私が頂いていいのかと、身が引き締まる思い」と喜ぶ。作品は中国唐代の詩人、岑参の詩から。薄めの墨を使い、字体は行書と草書を組み合わせた。筆圧をかけつつ、柔らかな色味も表現。今後は「周りに感謝しながら書の勉強を続けたい」と誓う。
■大内武司さん(ひたちなか) 字の配置や形に腐心
2021年以来、2度目の受賞。篆刻(てんこく)を始めて20年以上という81歳は「2度も賞をもらえるとは驚いた。うれしい」と相好を崩す。作品は中国「書経」から採り、約7センチ四方の「習與性成」。「字の配置、形、どう彫るか」と構想から完成まで1カ月を要した力作だ。「篆刻は奥が深く終わりはない」と精進を重ねる。
■岡野趙洋さん(石岡) 理想の書 研さん続く
受賞作「高適詩」は、墨と余白のバランスを取り、字体に切れある書を目指した。「まだ課題は多いが、だからこそ頑張れる」。子育てが一段落し、37歳で新たな趣味をと始めた。日々筆を握り、北宋の書家・米芾を理想に研さんを続ける。「書に打ち込めばつらいことも忘れられる。毎日の生きがい」
■辻いづみさん(水戸) 古典に立脚 小篆の美
「身に余る賞を頂き、感謝の気持ちでいっぱい」。作品は、中国・唐の書論「書譜」の一節。清の篆書(てんしょ)の名手、呉譲之の雰囲気をイメージしてしたためたという。過剰な表現をせず、古典に立脚した小篆ならではの簡素化された美が伝わる。「筆意を大切にして、努力を続けていきたい」と真摯(しんし)に話す。
同展は18日まで、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開催。入場無料。
藤枝咲絵さん
大内武司さん
岡野趙洋さん
辻いづみさん
日本の書展茨城展 5年ぶり席上揮毫 新進気鋭4人が技披露
茨城新聞:2024年04月14日掲載水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で13日に開幕した「第51回日本の書展茨城展」。初日は、コロナ禍で中断していた席上揮毫(きごう)が5年ぶりに開催。新進気鋭の書家4人がそれぞれの技を披露し、来場者からは大きな拍手が湧き上がった。
石川県出身の辻敬齋(けいさい)さん(54)は、自身が指導する水戸葵陵高校書道部員と共に席上揮毫に臨み、中国の古代文字・篆書(てんしょ)で「復興」としたためた。「日本人には切っても切り離せない文字」と能登半島地震や東日本大震災への祈りを込めたという。揮毫では生徒らのダンスに合わせて力強く筆を運び、太くしなやかな文字に仕上げた。
吉澤太雅さん(37)は韓非子の一節から「拙誠」、佐川峰章さん(41)は篆書で「盛運」、吉澤衡石(こうせき)さん(46)は軽やかな筆運びで「妙趣」をそれぞれ書き上げた。
会場には、日本の書壇をけん引する重鎮をはじめ、書の未来を担う若手作家らや学生まで、多彩な書が一堂に集まる。企画展「茨城の文化を築いた先達の書」では、横山大観が小川芋銭に宛てた手紙や、藤田東湖の書などを展示。奥深い書道の世界を堪能できる。
県立水戸二高2年、野上千夏さん(16)は「筆全体を使ったダイナミックな動きがすてきだった。自分もできるようになりたい」と真剣な面持ちで話した。(久須美七帆)
「茨城書壇選抜」奨励賞受賞者は次の通り。(敬称略、順不同)
大内武司(ひたちなか市)横山香月(同)岡野趙洋(石岡市)君野爽神(日立市)栗木白葉(常陸大宮市)鈴木静泉(水戸市)辻いづみ(同)藤枝咲絵(同)中尾慧雪(筑西市)福田憲翠(鹿嶋市)
水戸葵陵高書道部の生徒らが舞う中、席上揮毫を披露する辻敬齋さん=水戸市千波町、高松美鈴撮影
日本の書展茨城展開幕 水戸、18日まで 秀逸な作品330点
茨城新聞:2024年04月14日掲載日本書壇の巨匠と本県を代表する秀逸な作品を一堂に集めた「第51回日本の書展茨城展」(茨城書道美術振興会、茨城新聞社主催)が13日、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開幕した。5部門に約330点の秀作が並ぶ中、多くの鑑賞者が訪れて書芸術の粋に触れた。18日まで。
(18面に関連記事)
開会式で、同振興会長の沼田安広茨城新聞社長は「本展が茨城の書道美術、書道文化の振興に貢献できるよう充実に努める」とあいさつ。吉澤鐵之理事長は「書道の祭典という目標で開いている。書道愛好者の皆さんにぜひ見ていただきたい」と述べた。主催者と大井川和彦知事ら来賓代表がテープカットを行った。
同展は1973年から続く、県内最大規模の書道展。全国巡回の「現代書壇巨匠」「現代書壇代表」と、本県書家の「茨城書壇招待」「茨城書壇代表」「茨城書壇選抜」の5部門で構成。併せて、日本画の巨匠・横山大観など「茨城の文化を築いた先達の書」や、「第24回茨城新聞学生書道紙上展」の特別賞と優秀賞約200点も展示している。
初日は、同紙上展と同選抜からの奨励賞受賞者の表彰、書家4人の席上揮毫(きごう)が行われた。 (小林久隆)
「第51回日本の書展茨城展」の開幕を祝い、テープカットをする関係者ら=水戸市千波町、高松美鈴撮影
学生書道紙上展に協賛金100万円寄付 茨城書道美術振興会
茨城新聞:2024年04月13日掲載茨城書道美術振興会(吉澤鐵之理事長)は12日、茨城新聞社が毎年実施している「茨城新聞学生書道紙上展」への協賛金として100万円を寄付した。
13日開幕の第51回日本の書展茨城展の会場となる水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で、吉澤理事長から茨城新聞社の沼田安広社長に目録が贈られた。
同紙上展は、茨城新聞社が小中高校生の書道作品を公募し、審査で選んだ優秀な作品を紙上で紹介する事業。同振興会の協力で毎年2月ごろに実施している。
目録を持つ吉澤鐵之理事長(前列右から2人目)と沼田安広社長(同3人目)=水戸市千波町
第51回日本の書展 茨城展 奨励賞10作品
茨城新聞:2024年03月27日掲載大内武司
岡野趙洋
君野爽神
栗木白葉
鈴木静泉
辻いづみ
中尾慧雪
福田憲翠
藤枝咲絵
横山香月
「書展」来年4月13日開幕 5年ぶり席上揮毫復活 茨城書道美術振興会
茨城新聞:2023年12月07日掲載茨城書道美術振興会(会長・沼田安広茨城新聞社長)は6日、水戸市内で常任理事会を開き、「第51回日本の書展茨城展」を来年4月13~18日に同市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開催することを決めた。コロナ禍で中断していた席上揮毫(きごう)も5年ぶりに復活する。
あいさつに立った吉澤鐵之理事長は、今年の第50回展の成功をはじめ、同会副理事長の鈴木赫鳳氏が日展審査員に選ばれ、同常任理事の時崎伍鳳氏が同展で2回目の特選に輝いたことなどを振り返り、「この勢いを来年につなげていきたい」と意欲を示した。
理事会に先立ち、第24回茨城新聞学生書道紙上展(来年2月16日に特集掲載予定)の最終審査が同市宮町のホテルで行われ、応募作品9014点の中から、特別賞20点を選出した。(沢畑浩二)
受賞者は次の通り。(敬称略)
▽県知事賞 吹野姫菜(水戸葵陵高3年)▽県議会議長賞 軍司愛花(大成女子高2年)▽県教育長賞 滝知果(竜ケ崎一高1年)滑川緋彩(那珂市立四中3年)福持陽菜(笠間市立岩間三小6年)▽水戸市長賞 石川愛加(水戸三高3年)海老沢蒼空(茨城町立青葉中2年)大高優芽(那珂市立五台小5年)▽水戸市教育長賞 久冨莉歩(水戸葵陵高2年)斎藤悠一郎(茨城大付属中3年)会沢みみこ(日立市立大沼小4年)▽県子ども会育成連合会理事長賞 斉藤妃南(日立市立豊浦小3年)田中佑季(水戸市立柳河小2年)宇佐美勇人(日立市立豊浦小1年)▽茨城新聞社長賞 和田虎也(太田一高1年)石井美空(茗渓学園中1年)宮本桜希(水戸市立笠原小6年)▽茨城書道美術振興会理事長賞 相馬隆希(水戸一高付属中2年)赤荻ひなた(結城市立結城東中1年)藤芳直生(笠間市立友部小5年)
第24回茨城新聞学生書道紙上展の審査を行う吉澤鐵之理事長(右から2人目)ら=水戸市宮町
日展書科特選受賞 時崎さん囲み祝賀会 水戸
茨城新聞:2023年12月07日掲載全国規模の公募展、第10回日展書科で特選を受賞した時崎伍鳳さん(65)=高萩市=をたたえる祝賀会が6日、水戸市内のホテルで開かれ、関係者らが喜びを分かち合った。
祝賀会は、茨城書道美術振興会が主催し、関係者ら約40人が出席した。
第10回日展は11月、東京都内で開かれた。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5科で構成し、書科には8822点の応募があり、1112点が入選した。このうち特選は10点のみ。
時崎さんの特選受賞は2021年に続き2度目。あいさつで同会の吉澤鐵之理事長は「実力と人柄、ともに評価されての受賞。茨城、日本の書道界で活躍してほしい」と期待を込めた。花束を贈られた時崎さんは「ただ一生懸命、取り組んできた。自分に足りないものを、これからも学んでいきたい」と抱負を語った。
祝賀会であいさつする時崎伍鳳さん=水戸市内
日展書科、時崎さん特選 2回目 「李白詩」力強く
茨城新聞:2023年10月24日掲載公益社団法人日展は23日、第10回日展(国立新美術館、11月3~26日)書科の入選者を発表し、時崎伍鳳さん(65)=高萩市=が特選を受賞した。時崎さんの特選受賞は、2021年に続き2度目。
受賞作は「李白詩」。多字数の行書で、明清時代の古典をベースに仕上げた。授賞理由は「力強い線質で要所に大小・潤渇を交え、流動感も表現されている。行間の余白も効果的で、しっかり書き上げた秀作」とされた。
時崎さんは謙慎書道会常任理事、茨城書道美術振興会常任理事を務める。「二度目の受賞に大変驚いている」とし、「派手さはなくても、皆さんに好感を持ってもらえるような作品を目指した。今後も一歩一歩積み重ねていきたい」と話した。(滝山亜紀)
時崎伍鳳さん
台風13号義援金 高萩市に10万円 茨城書道美術振興会
茨城新聞:2023年09月26日掲載茨城書道美術振興会(吉澤鐵之理事長)は18日、台風13号で被害を受けた高萩市に義援金10万円を寄託した。同会副理事長で第10回日展の書科審査員に選ばれた鈴木赫鳳さん=同市=の就任祝賀会場で、吉澤理事長が「一日も早い復興を願う」と話し、同市の大内富夫教育長に手渡した=写真。
大内富夫教育長に義援金を手渡す吉澤鐵之理事長(前列左から2人目)
高萩の鈴木赫鳳さん 日展審査員に選出 水戸で就任祝賀会
茨城新聞:2023年09月22日掲載東京・国立新美術館で今秋行われる第10回日展で、書科の審査員に選ばれた鈴木赫鳳さん(高萩市、準会員)の就任祝賀会が18日、水戸市内のホテルで開かれた。茨城書道美術振興会(会長・沼田安広茨城新聞社社長)が主催し、同会会員や高萩市の関係者らが出席した。
鈴木さんが審査員に選ばれたのは初めて。日展は、日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5科からなる国内最大級の公募展。各科の審査員は17人で、外部審査員は2人。
花束を贈られた鈴木さんは「夢にも思わなかった。ラッキーな人生。自分なりに審査を全うしていきたい」と意欲を語った。
書科の県内関係者では、ほかに吉澤鐵之さん(水戸市、会員)、吉澤劉石さん(岐阜県=本県出身、同)、綿引滔天さん(埼玉県=同、同)が審査員を務める。
あいさつで審査への意欲を示す鈴木赫鳳さん=水戸市内
新会長に沼田氏 茨城書道美術振興会
茨城新聞:2023年06月06日掲載茨城書道美術振興会は5日、水戸市内のホテルで2023年度総会を開き、役員改選で新会長に沼田安広氏(茨城新聞社長)を選任した。星弘道名誉顧問、吉澤鐵之理事長らは再任。小田部卓氏(茨城新聞社会長)が顧問に就いた。
総会では、22年度の事業報告と収支決算の後、本年度の事業計画を承認。計画では、基幹事業「日本の書展茨城展」の第51回展の会期を来年4月13~18日に、同2月に発表する「第24回茨城新聞学生書道紙上展」の応募期間を今年10月20日~11月10日と決めた。
4月に実施した第50回日本の書展茨城展は、入場者が7年ぶりに2千人を超えたことなどが報告され、吉澤理事長は「今後も守るのではなく攻める姿勢で、書の素晴らしさを県下に知らしめよう」などと語った。
改選後のあいさつで、沼田会長は「本県の書道美術の振興のため力を尽くしたい」などと述べた。副理事長の鈴木赫鳳、吉澤石琥、山内香鶴の3氏は再任された。ほかの主な新役員は次の通り。(敬称略)
▽常任理事 窪山墨翠、小林千早、時崎伍鳳、吉澤衡石、吉澤太雅
総会で再選され、あいさつする吉澤鐵之理事長=水戸市宮町
日本の書展茨城展 珠玉の書 歩み半世紀 大家や若手、愛好家魅了
茨城新聞:2023年04月09日掲載50回の節目を迎えた「日本の書展茨城展」。会場となった水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館には、中央書壇の大家をはじめ、本県を代表する書家から若手作家に至る珠玉の書が一堂にそろい、書道愛好家らを魅了した。
現代書壇巨匠のコーナーでは、日本芸術院会員や日本芸術院賞受賞者を中心に、日比野光鳳氏や井茂圭洞氏、星弘道氏(茨城書道美術振興会名誉顧問)ら16氏の作品を展示。墨の潤渇がせめぎ合う漢字の造形美や、たおやかな仮名が織りなす詩歌の情景を楽しむことができる。
特別企画として、「茨城の文化を築いた先達の書展」と銘打ち、県内作家が所蔵する歴史的価値の高い書軸などを公開。水戸藩2代藩主徳川光圀や9代藩主斉昭の書状をはじめ、美術思想家の岡倉天心、日本画の巨匠、横山大観らの手紙など本県近代史の主要人物による書簡が並べられた。
日立市から訪れた会社員女性(40代)は「多彩な書作品が並び、50回にふさわしい華やかな内容」と印象を述べ、中央書壇の大家の作品に「古典や著名人の言葉をご自身の世界に落とし込んで書かれたのだと思う。その努力は計り知れないですね」と話していた。
50回を記念し、「明清の書」と題して講演した全国書美術振興会理事長の髙木聖雨氏は、書家の言葉を引用しながら「古典の中に全ての答えがある。学ばなければ本質は得られない」と語り、時代を超えてなお古典から学ぶ重要性や、書に臨む姿勢を説いた。(沢畑浩二)
「日本の書展茨城展」の展示作品を鑑賞する来場者=水戸市千波町、鈴木葵撮影
最高峰作品 節目彩る 第50回 日本の書展茨城展開幕 水戸
茨城新聞:2023年04月09日掲載第50回「日本の書展茨城展」(茨城書道美術振興会、茨城新聞社主催)が8日、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開幕した。日本書壇の最高峰と県内作家の秀作約350点を一堂に展示。節目を記念した特別展示や講演会も行われ、初日から多くの来場者でにぎわった。13日まで。(11、20面に関連記事)
同展は書美術の振興と書道文化の高揚を目的に、1973年に始まった。本県代表から国内トップレベルの作品までを網羅し、県内最大規模の書道展として親しまれている。
開幕式典で吉澤鐵之同振興会理事長は半世紀の歩みを振り返り、「中央書壇を目指す会として発足し、見事にその花を咲かせたと自負している。多くの皆さまのおかげと感謝している」とあいさつ。続いて主催者と来賓代表がテープカットして幕開けを祝った。
会場では、徳川光圀の書状などを紹介する特別展「茨城の文化を築いた先達の書展」や、第23回茨城新聞学生書道紙上展の入賞作品約200点(優秀賞以上)も併せて展示。先人の息吹を感じる書から、未来に続く子どもたちの書まで、幅広い作品が並んだ。(滝山亜紀)
「日本の書展茨城展」の開幕を祝って、テープカットする関係者ら=水戸市千波町、鹿嶋栄寿撮影
日本の書展茨城展 奨励賞受賞者の横顔
茨城新聞:2023年04月09日掲載第50回日本の書展茨城展(茨城書道美術振興会、茨城新聞社主催)が8日から13日まで、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれる。茨城書壇選抜展の奨励賞受賞者15人を2回に分けて紹介する。
■大小や濃淡を意識 筑西市、芦沢香紫さん
中国宋時代の司馬光による絶句、初夏二題を浅香鉄心先生の書を参考に書作しました。日々の競書や書作において文字の大小、墨の濃淡に苦慮する中で、特に意識を高めたように思います。今後も悩みながらも修練し続けたいと思います。
■流れるように書く 日立市、石井桐苑さん
漢字の行書体を中心に勉強してきました。今回の出品作は、墨量、線質そして余白を考えながら、流れるように書こうと取り組みましたが、思うように書けず苦心しました。これからも日々精進してまいります。
■墨量保ち厳しい線 水戸市、石川茜舟さん
2度目の受賞となり、なお一層心が引き締まる思いです。半切で縦6文字を書かせていただきましたが、墨量を保ちつつ、いかに厳しい線を出せるかに苦心しました。いろいろな作品に挑戦し、精進を重ねたいと思います。
■変化する空間美を 龍ケ崎市、岩原和枝さん
百人一首から好きな13首を選び、前半は散らし書きで余白の美しさを求め、山場は行書きで横への響きと緊張感を出し、終盤は余韻を残すよう細字でまとめました。3構成の散らしで変化する空間美を感じていただけたら幸いです。
■篆書の造形美追究 水戸市、江幡鋳卿さん
今回は印篆(いんてん)の白文と西周時代の金文から取った朱文の印を出品しました。二顆(か)とも筆意を線に注入するように心がけ奏刀しました。これからも篆書の持つ造形美を方寸の世界に展開し、篆刻の美を追究していきたいと思っています。
■木簡隷力強く表現 日立市、大塚秀次さん
木簡隷を表現のテーマとして取り組みました。まだまだ力不足な作品だと思っていたため、受賞できたことに大変驚いています。今回の受賞を励みにして、これからも力強い作品を書いていこうと思います。
■初の試み、違う勉強 鉾田市、皆藤可逍さん
受賞作は、以前に調和体で書いた詩文を半切サイズに漢字3行でまとめたものです。このような試みは今回が初めてで、また違う勉強ができました。これからも書の魅力とその難しさを感じながら続けていきたいです。
■特殊な素材で挑戦 日立市、木村白峰さん
今回の作品は初の試みです。木を薄く削り、裏打ち加工した特殊な素材を入手することができたため挑戦してみました。細字多字数作品なので、紙と違い難しく墨の濃度や墨量など、四苦八苦しながらの制作となりました。
第50回日本の書展茨城展(茨城書道美術振興会、茨城新聞社主催)が13日まで、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれている。茨城書壇選抜展の奨励賞受賞者15人のうち、残る7人を紹介する。
■筆持つ時間楽しみ 水戸市、小口まさ江さん
静かな自分の時間が欲しくて、息子が中学生になったのを機に先生のご指導を受けるようになりました。紙の前で筆を持つ時間が何よりの楽しみです。今回は古い料紙を7枚つなぎ、西行の歌を書きました。心を大切に今後も精進します。
■調和体 工夫重ねる 常陸太田市 篠原挙秋さん
読める書に憧れ、古典の少ない調和体に取り組んで25年。試行錯誤しながら向き合い、紙に合う墨、筆、そして詩文とが合致した時はうれしいです。そして作品を見てくださる方に伝われば幸いです。
■流動性や線質配慮 水戸市、福田明代さん
新古今和歌集から6首を選び、和歌の季節に合わせた6色の料紙に書き作品にした。間(ま)の取り方、墨の潤渇、文字の流動性や線質に配慮。日本の豊かな自然、季節の移り変わりを和歌と共に楽しんでいただけたらうれしいです。
■古典 創作のベース 水戸市、牧野美香さん
思いがけない受賞に驚いています。墨の香りに包まれて、作品をどう仕上げようかとイメージする時間が楽しいです。少しでも重みや深みのある字が書けるよう、創作のベースとなる古典の勉強を続けていきたいと思います。
■一層の精進を覚悟 結城市、谷嶌明峰さん
長年の課題「墨量・筆圧不足」を念頭に置き、久しぶりの調和体。不安いっぱいでの作品作りでした。奨励賞の栄を受けましたこと、喜びもひとしおです。今回の賞に恥じぬよう、なお一層の精進を覚悟しました。
■木簡の研究続ける 日立市、渡辺海風さん
師の吉澤石琥先生のご指導により、月例競書作品は木簡を数十年勉強しています。記念すべき50回展での受賞は望外の喜びであり、今後は敦煌、楼蘭を俯瞰(ふかん)し、木簡をさらに研究していきたいと考えています。
■書できること感謝 高萩市、渡辺子遊さん
中国北宋の文人、蘇東坡の詩を北魏の楷書で制作。扁平(へんぺい)な字形と文字の潤渇・疎密等の表現で立体感を追求しましたが、理想と程遠く時間切れとなりました。締め切りに追われる日常ですが書作に関われることに感謝して過ごしたいです。
奨励賞受賞者
奨励賞受賞者
第23回茨城新聞学生書道紙上展
茨城新聞:2023年02月17日掲載県内の児童生徒らの書道作品を公募する「第23回茨城新聞学生書道紙上展」(茨城新聞社、茨城書道美術振興会主催)の入賞作品が決まり、最高賞となる茨城県知事賞には水城高等学校3年の吉澤歩花さん(水戸市)が輝いた。本展は、日本の伝統文化である書道を通して、次世代を担う子どもたちの豊かな心を育て、書道美術の普及と向上を目的に毎年開催している。部門は半紙作品の「幼年・小学生・中学生の部」と条幅作品の「高校生の部」で構成され、2部門の応募総数は9千377点。茨城書道美術振興会の役員が審査に当たり、県知事賞などの特別賞20点、優秀賞178点、奨励賞818点を選出した。特別賞と優秀賞の計198点は4月8~13日まで、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館で展示される。入場無料。
掲載紙面
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